- ただちに危険はありません - https://noimmediatedanger.net -

1-2 政府が放射線被ばくをすすめている?

冒頭の挨拶でガリー・ハート民主党議員(Gary Hart: 1936-)が述べていることが、議員主導のこの会議の方向性をある程度示しています:原子力産業が拡大すれば、市民の被ばくも拡大する;原子力産業を進める政府は国民の被ばくを進めている;放射線許容線量は恣意的に決めたもの;人為的に作られる放射線は抑えることができる。

第1章 ガリー・ハート議員の冒頭ステートメント

会議の目的について

  1. 原子力発電所から出る低線量電離放射線と、医療用・歯科用X線、その他の放射線による健康への影響を検討すること。議会の取り組みとしてはここ数年間で初めて。
  2. 一般市民を被ばくから守るために、最近の研究結果を話し合うこと。これらの研究は、連邦政府が立案しているプログラムを厳しく精査する必要があることを示している。

会議の発表者/パネリストについて

ハート議員:今日の発表者は低線量被ばくの健康への影響について、そして、一般市民と放射線業務従事者がどの程度の低線量から守られるべきかについて、様々な見解を持つ方達です。

会議開催の背景について

ハート議員:この国では、目下、エネルギー不足への解決策として、原子力に向かうべきだという圧力が高まっています。低線量電離放射線をめぐる問題は切迫した大きな問題になっています。原子力産業が広がるにつれ、今より更に多くの市民が今より高い線量の放射線に被ばくするでしょう。

 ご承知のように、人類は自然バックグラウンド放射線に晒されてきました。プルトニウムの発見者の一人であるゴフマン博士は、この自然発生の放射線が毎年およそ19,000人のがん死を生み出し、その上、この国だけで、年に58,000から580,000人の遺伝子損傷による死者を引き起こしていると試算しています。

 これらの数字を考慮すると、政府が放射線を人為的に作り出すことを勧めているというのは信じられません。その結果に伴う人命のコストを勧めるというわけですから、到底信じられないことです。しかしながら、既に起こってしまいましたし、平均的アメリカ人は自然発生の放射線の2倍も被ばくする結果になっています。

 バックグラウンド放射線についてはどうすることもできませんが、人間が作った放射線を抑制することはできますし、抑制しなければなりません。現在の規制では、年間170ミリレム(1.7mSv)被ばくしていいことになっています。ゴフマン博士とタンプリン博士によると、この線量を被ばくすると、がんや白血病が引き起こされ、追加の死者が年間32,000人出るという心配な結果になるそうです。

 ところが、まるでこの被ばくでは十分ではないというかのように、原子力産業の作業員たちを、この規制から除外しているのです。信じられないことです。作業員たちは一般市民の30倍もの被ばくを受けてもいいと法的に認められているのです。この被ばく量は白血病とがんのリスクを毎年5%も増加させると計算されています。

会議の議題について

  1. 原子力産業が出す放射線
  2. 医療用・歯科用X線の放射線:国際放射線防護委員会(ICRP)によると、医療被ばくにより、さまざまながん、遺伝的損傷が起こり、年間3,000人の死者が試算されている。遺伝的影響によって、将来世代に30,000人の追加死者をもたらすとも述べている。国立科学アカデミー(National Academy of Science)、イオン化放射線の生体影響に関する諮問委員会(BEIR Committee)、医療用X線諮問委員会(Medical X-ray Advisory Committee)もみな、診断用X線は大幅に、そして簡単に減らすことができるという意見で一致している。

政府の放射線許容限度について

ハート議員:連邦政府の規制は人間の体が安全に体内に蓄積できる被ばく量を決める目的で制定されました。しかし、どんなに微量でも蓄積すれば生物学的損傷を引き起こすため、この基準というのは結局、恣意的・官僚的決定に基づいているのです。つまり、健康に不利な影響がいくつぐらいあるか、死者数の婉曲的表現ですが、それをどの程度我々は我慢するか、いわゆる「認容できるコスト」について恣意的に決められたのです。

 ここで議論するのは単なる統計ではありません。人間個人個人の命です。そして、最終的にこれらの人びとと、選挙によって、その人びとに選ばれた代表者である我々議員がこの難しい決定を下さなければならないのです。我々の決断が事実に基づいていることをしっかりと確認し、その結果を十分見極める必要があります。このようなフォーラムで発表するのは事実であって、無数の政府機関のあいまいな出版物に限定するものではありません。