1-1 市民の不安に答えるための議会主催セミナー

この会議の構成と議事録の目次、そしてセミナーを主催した議員の目的(過去30年間大きなテーマだった低線量被ばく問題について原発推進と反対の専門家の議論を議員たちと市民が聞く場を設ける)が述べられています。

1976年米国議会セミナー
——低線量被ばくの影響に関する論争——

『低線量電離放射線に関する議会セミナー議事録—アメリカ下院第94回会議第2セッション「内務委員会」「エネルギー環境小委員会」による報告—』1976年11月

議事録の構成

・アメリカ議会下院「内務委員会」委員名簿、「エネルギー環境小委員会」委員名簿
・ 内務委員会委員長ヘイリー議員の内務委員会全委員宛書簡(1976年11月23日)
・ エネルギー環境小委員会委員長ユダール議員の内務委員会委員長宛書簡(1976年11月3日)
・ 目次

第1章:ガリー・ハート議員とカール・モーガン博士の冒頭ステートメント
第2章:低線量放射線とは何か、その主たる線源は何か?
第3章:低線量放射線の健康への影響とは何か、いつ現れるのか?
第4章:線量反応の関係、直線型か非直線型か?
第5章:特別グループの防護
第6章:規制・モニタリング・点検における連邦政府と州政府の責任
第7章:現行の放射線防護基準、責任、科学的根拠
第8章:放射線の健康への影響、基準決定のためのデータベースは適切か? どんな研究が必要とされているか?
第9章:現行の連邦政府基準で被ばくする一般市民と放射線業務従事者の健康影響
第10章:連邦政府の放射線基準のコストベネフィット(費用対効果)理論は適切なシステムか? 代替システムは何か?
第11章:議会公聴会、法律制定、その他の実行への具体的な提言

付録資料
・ 低線量放射線の人間への影響に関する文献
・ 放射線健康用語集
・ ヴィクター・アーチャー博士の証言に追加:ブルース・マイルズ氏宛書簡(1976年4月1日)
・ エドワード・マーテル博士の証言に追加:アルファ線内部放射体の未解決健康影響
・ 環境研究会議への提言:提出者 ロザリー・バーテル博士
・ 議事録用に提出された書簡:提出者 バーナード・コーエン博士

エネルギー環境小委員会委員長の内務委員会委員長宛、1976年11月3日付け書簡抄訳
モリス・ユダール(Morris Udall: 1922-1998)民主党議員

 過去30年間、人為的放射線のうち、何が最も人間の健康に害をもたらすかということが大きな懸念であり、公開討論のテーマでした。この議事録がはっきりと示すように、リスクの性質について専門家の間に今なお大きな意見の違いが存在しています。(中略)この会議の記録をお送りします。この分野の専門家にとっても、非専門家にとっても、この論争がどんなものだったか感じ取るために、この議事録はきわめて有益なものだと信じています。

内務委員会委員長の内務委員会委員宛、1976年11月23日付け書簡 全部翻訳
ジェームズ・ヘイリー(James Haley: 1899-1981)民主党議員

 内務委員会のエネルギー環境小委員会は核監督責任の一部として、放射線に伴う健康被害に憂慮してきました。小委員会委員長は「下院環境研究会議」の議事録を送ってきました。この会議では、人為的放射線が存在するために生じる被害に関して、本質的に異なる見解が提出されました。これは広範囲に関心が持たれているテーマであるため、本委員会の委員全員に議事録を提示いたします。

 1976年5月4日、科学者と公衆衛生担当の役人を含めたパネルが、低線量電離放射線の健康への影響について様々な見解を述べた。このテーマについて、議員とスタッフに情報を提供するために開かれた、丸1日をかけた会議だった。

 この会議は「環境研究会議」が企画し、当初は下院議員165人の超党派からなるグループだった。また、非営利リサーチ・センターの「環境政策研究所」も企画団体だった。会議の目的は、核燃料サイクル、医療用X線、その他の人為的放射線の低線量はどの程度健康に害を及ぼすのかという質問が一般市民から寄せられ、日ごとに増えるこれらの質問に対して見通しや見識を提供するためであった。

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