昼食休憩後
モーガン:課題5に戻って、特に最後の部分に焦点を当ててほしいという要望がありました。パネリストの方にお願いしたいと思いますが、課題は「このモニタリングは適切か」です。
セイモア[アーチャー博士に呼びかけているようだが、博士の名前はヴィクターなので、速記者の間違えか]、あなたがこの件に回答したか覚えていませんが、ウラン鉱山などに関する限り、モニタリングや財源は適切だと感じていますか。
アーチャー[アメリカ公衆衛生局国立労働安全衛生研究所医学部長]:ええ、モニタリングも財源も、状況をコントロールするのに適切だと思います。特にウラン鉱山に関しては、基準が完全に実施されたのはつい最近のことです。われわれは徐々に取り組んでいるところです。
ここまで辿り着き、うまく管理されているので、将来的リスクは大きく軽減されるだろうし、多分、喫煙のリスクより少なくなると思います。
モーガン:放射医学局(Bureau of Radiological Health)に関する限り、彼らの注意はカラー・テレビなどの製造に向けられていると思います。このことは前にもお尋ねしましたが、くり返します。あなたの見方では、これらの製品のモニタリングは適切だと思いますか。
シーレイン[FDA アメリカ食品医薬品局放射線医学局医務局]:おっしゃるように、われわれの所にはコンプライアンス(法令順守)プログラムがあります。公法(Public Law)90-602で決められていて、法の執行プログラムです。私の考えでは、この質問は医療処置における放射線量のモニタリングに関するものだと思います。
われわれのそれ以前のプログラム、最初に生殖腺の線量を測った、レントゲン被ばくプログラムについてはもうお話ししました。現在は、骨髄の線量を測る作業が進行中です。付け加えると、特定の検査のために開発されたシステムもあり、これは州のほとんどが現在活用しています。
モーガン:1970年の報告書は正式に公表されているのですか。
シーレイン:1970年版GSD(遺伝有意線量)レポートは完成して、印刷中です。骨髄の線量に関する報告書は準備中です。
モーガン:エレット博士、このプログラムが適切かどうかについてコメントなさいますか。
エレット[環境保護庁基準局放射線プログラム部]:もうお話しました。
モーガン:この点についてとてもよく説明して下さいましたね。マットソン博士、この適切性について、何か他にコメントありますか。
マットソン[原子力規制委員会]:放射医学局(BRH Bureau of Radiological Health)と環境保護局(EPA Environmental Protection Agency)の人たちがモニタリングに関して特別な研究があると、その長いリストに言及しました。
私は、今朝、この問題に対する回答の中で、言いそびれたことがあります。今朝、ちょっと触れましたが、ある原子力施設では、認可された事業者は原発運転のために、かなり高額のモニタリング・システムを実行するよう義務づけられています。たとえば、原発からの放出量や、原発敷地外の環境放射線レベルのモニタリングです。
これに加えて、原子力規制委員会が行うことになっている一般的な性格の研究もあります。目下私が担当しているのも、その一つです。ウラン工場におけるウランの粉じんに関する研究ですが、年間5万ドルの小さな研究です。今日は、原子力規制委員会がときどき行う、このような種類の研究を網羅する用意はありませんが、何か特別な質問が出たり、特別な問題が注目を集めたりすれば、原子力規制委員会の確認調査グループか、検査執行グループ、または私が代表をしている基準開発グループが研究を行います。
スターングラス:モニタリングが適切かという点について、ちょっと指摘したいことがあります。
私がショックだったのは、みなさんも同じく感じたと思いますが、シッピングポート[原子力発電所]の公聴会で明らかになったことです。出てきたものだけの知識では不十分だということは、全員が賛同しました。モニタリングは控えめに言っても、非常にお粗末なものでした。事業者の報告書では、[放射性]ガスは報告なしに漏れ出すことが許されていると主張し、それと反対の報告がありました。
原子力発電所からの[放射性物質の]放出はゼロだという主張がある一方で、原発近くの魚、ミルクにストロンチウム90がかなりの量検出され、この検出によって、この国の原発のモニタリングが適切にされているのかという疑問が生じたのです[6章の最後の訳者解説参照]。
私はこれがとても深刻な問題だと考えます。このような原発の多くで、人口密集地の近く、そしてミルクやチーズなど食品製造を近くでしている原発が数多くあり、その食品が国中に渡ることを考えると非常に深刻な問題です。モニタリングが改善されなければ、非常に深刻な事態になると思います。
グッドマン[原子力安全コンサルタント]: 訳注参照
総体的なテストというのは、[核に]かかわる人間に実際に何が起きるかということだと思います。私は原子力産業で起こった事故で、放出された放射線被ばくの研究を20年以上行ってきました。近年、様々な機会に放射線に被ばくした500人のリストを提供しました。この500人の健康記録の疫学調査がされるべきだと思います。
これに匹敵するような、全体的基礎研究があるか知りません。原子力産業で働く作業員で被ばくした人は、適切な医学研究の対象になるべきです。その名前がここにあります。私はこのリストに簡単に「かかわった個人」(Individuals involved)という題名をつけました。どなたでも、このリストのコピーがお入りようなら、喜んで提供します。
モーガン:このセミナーの記録用に提供してもらえますか。
訳注:レオ・グッドマン(Leo Goodman: 1910-1982)はこのセミナーの冒頭に、原子力安全コンサルタント(consultant in atomic energy safety)と紹介されている。この分野で著名な人物のようで、アメリカ議会図書館に「レオ・グッドマン文書 1913-1982」(Leo Goodman papers, 1913-1982)が存在し、86,000もの書簡・文書が保管されている。マサチューセッツ工科大学を卒業後、アメリカ労働省の労働統計の仕事を皮切りに、第二次世界大戦前・中・後も産業別労働組合会議等で活躍していた。1967年にはロバート・ケネディ上院議員の原子力エネルギー・アドバイザーを務めている。この頃から、様々な原発訴訟の仲裁コンサルタント、環境保護活動コンサルタントなどを務めた。
出典:”Leo Goodman”, Manuscript Division, Library of Congress, Washington, D.C., 1994(アメリカ議会図書館、文書原稿部)
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