モーガン博士が第一番目の課題である低線量放射線の定義について、現行の許容線量基準と、市民が日常生活で被ばくする放射線源を紹介しました。パネリストの意見を求めましたが、意見はなく、議事はこの線量が妥当かどうかの具体的議論に移っていきます。
2 第2章:低線量放射線というのは何か? その主たる線源は何か?
低線量放射線というのは何か?
モーガン:低線量被ばくの定義については一致したものはありません。(中略)原発作業員や放射線業務従事者の職業被ばくの許容線量最高値を放射線防護測定審議会(NCRP)が1971年に勧告しています。
体全体・生殖腺・水晶体・赤色骨髄:年5レム(50mSv)
それ以外の臓器:年15レム(150mSv)
手:年75レム(750mSv)
腕:年30レム(300mSv)
この10分の1を職業被ばく以外の制限線量とし、住民全体の最高平均線量を170ミリレム(1.7mSv)としています。今日の議論の中で、これらの線量が適切か、変えるべきかを示すことにしましょう。
われわれが注意すべき主たる線源は何か?
モーガン:低線量被ばくの線源の中心的なものは何かという点ですが、この答は1972年のBEIR(イオン化放射線の生体影響に関する諮問委員会)レポートにあります。
平均的なホールボディー被ばく
1. 自然バックグラウンド放射線——年100ミリレム(1mSv)ほど
2. 医療用・歯科用——年73ミリレム(0.73mSv)
3. フォールアウト(注:核実験など)——年4ミリレム(0.04mSv)
4. 職業被ばく——年0.8ミリレム(8μSv)
5. 原発からの放射線——年0.003ミリレム(0.03μSv, 注:原発の通常運転によって放出される放射線量)