事故から4年間で、福島の子どもたちの間に甲状腺がんが127人見つかり、104人が手術を受けました。この多さについて、カルディコット博士は「日本の子供たちが高レベルのヨウ素131に晒されていることがほぼ確か」と述べています。しかし、県民健康調査検討委員会の結論は「放射線の影響とは考えにくい」というものでした。
最新記事
8-5-8 作業員の被ばく限度250mSvへ引上げ
福島第一原子力発電所事故から4年後の2015年4月17日に、厚生労働省の有識者会議で、緊急時の作業員の被ばく許容量を250mSvに引き上げる案をまとめました。この線量が何を意味するのか、チェルノブイリ事故から4年後の対応と比較してみます。
8-5-7 森の生き物たち:チェルノブイリ事故の影響と福島原発事故の比較
チェルノブイリ事故から30年近くたった2014年にヨーロッパの森林に生息する動物の放射能汚染度が急上昇しているという報道があるのに、日本では高線量のイノシシを食べる会が開催されるなど、驚くべき対応です。日本の森の生き物達にどんな影響が出ているかの研究も紹介します。
8-5-6 原子力災害緊急対応ガイドライン国際比較(食品汚染)
日本の「原子力災害対策指針(案)」にはストロンチウム90の規制値がありませんが、欧米はストロンチウム90を最も危険な核種としてトップにあげています。2000年代後半のチェルノブイリでは森林火災によってストロンチウム90などが拡散する危険性の研究、淡水魚のストロンチウム90の濃度がセシウムの2〜5倍に増加している研究結果などを紹介します。
8-5-5 長瀧重信氏のヨーロッパ甲状腺学会での報告
長瀧重信氏が2011年9月にヨーロッパ甲状腺学会で報告しました。福島第一原発事故で放出された放射線レベルはチェルノブイリ事故の10倍以上、安定ヨウ素剤服用の介入レベルが100mSvだったが、放射性ヨウ素を繰り返し被ばくしたことから、安定ヨウ素剤を複数回服用させるべきだったかという課題が残ると述べました。
8-5-4 SPEEDIの重要性と原子力規制委員会の「活用せず」方針
安定ヨウ素剤服用のための介入レベルを示さない日本政府を、OECDが2003年に批判しました。2015年に、原子力規制委員会は介入レベルを示さない方針に戻っています。そのうえ、「SPEEDI活用しない」方針を決めました。原発事故の際の避難指示にも、 安定ヨウ素剤服用指示にも、被ばく前に迅速に判断材料を提供してくれるのはSPEEDIだけで、福島第一原発事故でそれが実証されたと専門家が検証報告をしています。
8-5-3 日本・欧米の一般市民の防護のための緊急対応ガイドライン
2015年3月5日〜4月3日まで原子力規制委員会が「原子力災害対策指針(案)」について意見募集を行っていますが、安定ヨウ素剤服用の介入レベルを示していません。福島原発事故でなぜ安定ヨウ素剤が服用されなかったのかを整理し、チェルノブイリ事故で子ども全員に安定ヨウ素剤を飲ませたポーランドの報告(小児甲状腺がん増加なし)を紹介します。
8-5-2 食品の放射能汚染に関するEUの対応
福島第一原発事故後にEUが日本産輸入食品中の放射能汚染最大許容レベルを既存のレベルと異なる高いレベルに変え、市民の間に不安が広がりました。
8-5-1 食品摂取制限を大人1,000Bq/kg、子ども100Bq/kgに?
福島県民の摂取制限値を大人1,000Bq/kg、子ども100Bq/kgにしようというシンポジウムが福島県伊達市で開催されました。スポンサーは東京電力。「世界基準であるCodexを援用して」と説明されていますが、コーデックス基準が全食品の10%(汚染地からの輸入食品)だけ、そして事故後1年間だけ適用されるものだという点が曲解されています。
8-4 アメリカ国立がん研究所は放射線の健康影響の研究をもっとすべき
国立がん研究所が放射線関連の研究をする気がないようだというコメントがあり、議論の末に、放射線の健康への影響に関する研究は、公衆の健康を守ることを使命とする機関が一括して行うよう、アメリカ議会に提言すべきだという提案が出されます。