国立がん研究所が放射線関連の研究をする気がないようだというコメントがあり、議論の末に、放射線の健康への影響に関する研究は、公衆の健康を守ることを使命とする機関が一括して行うよう、アメリカ議会に提言すべきだという提案が出されます。
1976年議会セミナー
8-3 低レベル放射線被ばくの健康影響に関する研究
放射線の影響についての研究は何が必要かという議論の中で、生殖腺組織に入りこんで変異を起こす点で最も危険なのはプルトニウムだというカルディコット博士の指摘に対して、市民傍聴者から拍手が起こります。放射線の危険性を正しく指摘する専門家に対する信頼感の現れで、「拍手」と議事録に記載する対応も、現在の日本と対照的です。
8-2 ICRPの内部被ばく基準は2000倍〜10,000倍低くすべき
国立大気研究所のマーテル博士がNCRP(アメリカ放射線防護委員会)とICRP(国際放射線防護委員会)の被ばく基準がもとになっている研究が内部被ばく研究を無視していると指摘します。アルファ線を放出する粒子が体内に入った場合の危険度がICRPの基準の2000倍〜10,000倍以上あると警告します。
8-1 増殖炉に税金を使わず、健康被害調査に資金をまわすべき
放射線の健康への影響に関するどんな研究が必要とされているかが問われ、低線量被ばくの影響と、被ばくがもたらす相乗効果による糖尿病や呼吸器疾患その他の病気の研究が必要だと議論されます。そんな資金がないという原子力推進派に対し、バーテル博士が増殖炉開発用の無駄な研究費を使えと提案すると、フロアーから拍手が起こります。
7-4-2 訳者解説:リスクコミュニケーションは放射能安全神話作りのツール?
英国インペリアル大学分子病理学専門家のジェリー・トーマス教授がBBCで「チェルノブイリの死者は122人、福島原発事故による死者はゼロ」と発言し、イギリスの国会議員や専門家たちがBBCに抗議しましたが、トーマス教授は福島と東京で安全神話作り活動を積極的に展開しています。
7-4-1 訳者解説:最新の研究成果を取り入れて、放射線の基準設定をすべき
山本太郎参議院議員が国会で内部被ばくに関する日本の最新研究を紹介し、食品の放射能汚染基準がゆるすぎると指摘しました。海外の専門家も日本のシンポジウムで内部被ばくの最新の研究を紹介して危険性を訴えました。
7−3 不都合な研究結果を無視した放射線基準
健康と命を心配する科学者たちは、被ばく限度基準を設定する際に、少しの被ばくでも危険だという証拠を示す最新研究を考慮するよう求めますが、原子力推進側は形式論で反論しています。国家環境保護法では最新研究を考慮しなければいけないとされるのに、放射線基準設定機関は原発推進のために、法律違反を犯しているという含みの指摘に対し、市民から拍手が起こります。
7-2 市民を混乱させる原子力ムラの線量基準
原子力推進側は、市民はもちろん、専門家さえも混乱させる線量方法をくりかえし、バーテル博士は放射線被害の調査研究をもとにしていない線量基準だと、論争します。
7—1 第7章 ICRPの許容線量は「基準」ではない
「市民と放射線業務従事者への放射線防護基準はだれが設定するのか、この基準はどんなデータによって設定されたのか?」について議論し、モーガン博士が「ICRPの基準」と呼ばれるものは「基準」ではなく「勧告」にすぎないと主張します。
6-14-5 訳者解説:原子力委員会の裏工作
調査委員会で証言した原子力委員会側の証言者たちが、線量の元データを再分析した結果、原発周辺に高レベルの放射性物質は存在しなかったと主張した背景に、原子力委員会の裏工作があったことが発覚し、1年後に報道されました。